火星への野望を宿した腕時計―人類が赤い惑星に到達するために、インパクトのある新型フォルティスがどのように貢献するのだろうか。

オーストリア宇宙フォーラムがイスラエル宇宙局の支援を受けて実施する「アマディ20」(AMADEE-20)ミッションは、火星移住計画の取り組みの一部だ。このミッションはイスラエルのネゲヴ砂漠で行われる。これは「アナログ」シミュレーションと呼ばれるが、アナログ宇宙飛行士がデジタルツールを使わないという意味ではなく、地球上の環境を使って他の場所の環境をシミュレートする実験という意味だ。この場合、ネゲヴ砂漠が火星の風景の代わりとなるということである。

 また、このミッションにはデジタルではない「アナログ」要素があり、それを記念して作られたフォルティスの時計がある。44m径のチタン製のフォルティス アマディ20 クロノグラフは、ミッションで着用するために、多くのアナログ宇宙飛行士たちに支給される。この時計は宇宙飛行のために特別に設計されたもので、「MCB」(ミッションコントロールベゼル)と呼ばれる、カウントダウン式ベゼルの50分マーカーにある発光するルミナスポイントと三角形の目印を使って、10分間隔で時間を追跡することが可能だ。フォルティスによると、地球から火星への通信には約10分かかるため、理論的には火星の探検家や入植者は、このベゼルを使って地球との次の通信までの時間を把握することができる。さらに、12時位置には特大の30分計があり、ミッションで重要な作業のタイミングを計ることができる。もちろん、6時位置にはチームワークを高めるミッションパッチが貼られている。

フォルティスの宇宙進出のルーツ
 確かに、宇宙の時計といえばスピードマスターが有名かもしれない。スピードマスターは月に行き、今でも宇宙飛行士に支給されている。しかし、アメリカの宇宙計画以外にも、宇宙とのつながりをもつブランドは数多くある。フォルティスもその一つだ。

 NASAがオメガをパートナーに選んだように、ロシア連邦宇宙局も1994年にフォルティスを選び、宇宙飛行士たちにミッションで使用する時計を提供した。スターシティにあるガガーリン宇宙飛行士訓練センターの宇宙飛行士には、以前から「オフィシャル・コスモノート・クロノグラフ」が支給されている。スターシティは、モスクワの「ズヴョーズドヌイ・ゴロドク」という軍事・宇宙実験・訓練を中心とした閉鎖的な居住区にある。この時計が正式に命名されて間もなく、ロシアのミール宇宙ステーションへのミッション「ソユーズTM-19」で宇宙飛行士が着用した。その後、フォルティスの歴代モデルは、国際宇宙ステーションの標準装備品となった。

 アマディ20は、地球上での研究プログラムのために特別に設計された初めての腕時計だ。これは、2018年にブランドを買収し、昨年再スタートを切ったユップ・フィリップ氏が打ち出した、往年のフォルティスがもつ宇宙への遺産を復活させるというビジョンの一環なのだ(記事「フォルティス フリーガー F-43 バイコンパックス」参照)。

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